ロンドン旅行記①


就職活動にも終わりが見えてきた2014年春。大学生活最後の年。大学生らしく暇を持て余した私は、当時働いていた場所とはまた別に新しくバイトを始めた。掛け持ちである。特に卒業旅行資金の為というわけではなく、「ただ暇だったから」という理由である。しかし、なんとなくではあったがパスポートでもとろうかな。もし行けるとしたらブロードウェイかウェストエンドに行ってみたいな。でもまあ無理だろうな。と思いながら働いて過ごしていた。海外に行ったことのない私にとってそこは「夢の場所」だった。どうしようもなく憧れていたのと同時に自分にとっては手の届かない場所。そういう2つの意味での「夢の場所」だった。

5月27日
ベッドでゴロゴロしていたらツイッターにて私の大好きな女優、サマンサ・バークスがミュージカル「City of Angels」に出演するという知らせが届いた。そこで私はロンドンに行くことを決める。行くしかない。行かねばならない。サマンサ・バークス日本支部応援団長(自称)として私はロンドンに行かねばならぬ。が、そのミュージカルの上演する劇場の収容人数が小さいことからチケット難が予想された為、チケットがもし取れたのなら行こう。というやや後ろ向きな決定であった。

6月18日
「City of Angels」のチケットがなんとか取れた。嬉しい!やったー!という嬉しい気持ちと海外一人旅、しかも初海外という不安な気持ちでいっぱいになる。両親を説得し、渡英の許可をもらう。

7月1日
パスポートを申請する。提出した写真の顔のサイズがやや小さかったために受付のお姉さんに拡大するかどうか聞かれる。写真を撮り直すのも面倒なのでお願いしたら「入国審査などで引っかかっても自己責任でお願いしますね(自分でなんとかしろ)」と言われる。先に言ってほしかった。せっかくなのでついでに旅行代理店にも行ってみた。店員に「海外1人旅です。できるだけ安く済ませたいです。」と言うと、ものすごくオブラートに包んだ言い方で「おすすめできるプランはありません」と言われて追い返される。まだ個人向けのプランなどが出ていなかった時期らしい。にしても何の情報も与えずに追い返すなんてあの店員は商売下手だと思う。

7月16日
飛行機とホテルを予約する。

8月
学生最後の夏休み。働きまくる。
元々いた方のアルバイト先で上司からのパワハラが酷くなったりバイト先関係の人間関係が泥沼化して8月いっぱいで辞める。ストレスでドンドン痩せて40kg代にまで体重が落ちてしまった。これが原因となって生理不順になる。目標としていた旅行資金が貯まる。

9月30日
国際学生証申請。3日くらいで届いた。

10月3日
大好きな俳優、アーロン・トヴェイトがミュージカル「Assassins」に出演することを発表。ちょうど渡英する時期と被っていたためチケットを取る。前々からサマンサかアーロンがミュージカルに出ることになればそちら(ニューヨークかロンドン)に飛ぼうと思っていたので、両方が観れるなんて私はなんてラッキーなの!と喜ぶ。

11月
キャリーバッグを引っ張り出して荷造りを始める。100円均一にて大量の旅行用品を購入する。
City of Angels と Assassins の予習をする。円からポンドに両替をする。帰りのホテルからヒースロー空港までのシャトルバスを予約する。

12月初旬
この頃からずーっと緊張していた。不安で不安で仕方なかった。毎日カレンダーの日付が変わるのを見ては「嫌だー!!!時間よ止まれ!」と思っていた。

12月中旬
City of Angels のチケットが届かずボックス受け取りに変更する。頑張った。

12月17日
ポケットWifiを予約する。

12月18日
渡英前日。これが自分の最後の晩餐になるかもしれないと思いながら晩御飯を食べる。うどんすきであった。美味しかった。随分と伸びてしまった爪をマニキュアで赤に染めた。荷物の最終確認。不安で胃が痛い。怖い。

12月19日
午前4時に起床。窓から外を見ると真っ暗で悲しくなる。朝食はミルクティー、レーズンパン2つ、それとバナナ。自分の部屋を軽く掃除してゴミを捨てる。私はいつも外泊するときには部屋を綺麗にしてから発つ。「帰ってきたときにゴチャゴチャしている部屋なんて絶対に嫌だ。」というのがその理由である。父に車で空港行のバスが出るとことまで送ってもらう。空港行のリムジンバスのチケットを券売機で買い、バス停に並ぶ私を確認した父が手を振って帰って行った。急に寂しさと不安が押し寄せてきて涙が零れた。21歳にもなって親の姿が見えなくなって泣くなんて、まだまだ自分は子供なんだと思う。この頃、日本に寒波が押し寄せてきていて私は厳しい寒さに凍えながらバスを待った。家族や親戚、友人達の顔を思い出しながら「大丈夫。大丈夫。」と何度も自分に言い聞かせるが、そうすればするほど不安が増して涙が止まらなくなってしまった。自分の不安と戦い、何とか涙をひっこめるとバスが来た。荷物を預けてチケットを運転手に渡し、バスに乗り込む。バスは満員で9割近くが日本人、観光客と思われる外国人がチラホラ。空港までの道中、不安になってまた泣く。腕時計の時間をやたらとチェックしたり手荷物を何度も確認したりした。パスポートよし。航空券よし、クレジットカードよし。40分ほどで伊丹空港に到着。荷物を受け取り、施設の案内図を見る。空港に1人で来るのも初めてだった私はそこで空港とは各航空会社がそれぞれ受付窓口を持っていてそこでチェックインするのだと知った。「JAL」の文字を見つけてそこへ向かう。わからないことがあったら係員とかの人に聞こう。初海外1人の人だって世の中には大勢いるはず。伊丹から成田へ行くので国内線かな?と思い、国内線で受付するとチェックインはできたものの「お客様は国際線ですよ。」と教えてもらう。国際線の受付の方で再度受け付け。荷物を渡すときに一旦重量計に載せるのだが私の荷物は13kgであった。窓側の席か通路側の席のどちらがいいかと聞かれ通路側にしてもらう。ゲートへ向かう。搭乗までかなり時間があったので暇だなと思いつつ待っていると「JALマイレージカードを作りませんか」とお姉さんに捕まる。資料だけもらっといた。ツイッターをして時間を潰す。


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            伊丹空港大阪国際空港)マスコットキャラクターのそらやん。可愛い。

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伊丹空港の搭乗口

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まだ外は薄暗い



伊丹から成田への飛行機は乗客がほとんどおらず、通路側に座席を指定したが自由に行き来することが出来た。やはりここでも不安で泣く。客室乗務員が「お飲み物はいかがですか」とワゴンを押してきてくれたので温かい緑茶をもらう。飲むとホッとしたがそれでまた泣いた。本当に泣きすぎだと思う。成田空港に9時半頃に到着。せっかく申し込んだポケットWIfiを受け取らずにそのまま出国。係員のお姉さんになんとかできないかと聞いてみるも税関の関係で不可能だと言われる。そりゃそうだ!搭乗ゲートまでテコテコ歩く。搭乗ゲートの受付で帰りのターミナルを聞くと予想していたターミナルとは違っていたため、帰りのホテルからヒースロー空港までのシャトルバスに下ろしてもらうターミナルを変更できるかの問い合わせメールを送る。フォロワーさんに私が興味を持っていたミュージカルのチケットがあるよと言われアタフタする。売店でミネラルウォーターを買う。搭乗ゲートにあったテレビはドラマ「ATARU」を流していて椎名林檎が歌う主題歌を聞く。好きな歌手なので嬉しかった。

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                       成田空港の搭乗口にて。快晴だった。

ではいざイギリス行きの飛行機に搭乗。
ここからは日本時間とイギリスの現地時間がごちゃまぜになるため、ここで一旦終わる。