魔法のことばはビビディバビディブー

  

14年ぶりにディズニーランドへ行った。

ここには家族旅行で行ったきりでそのとき私はまだ小学生だった。当時の記憶はボンヤリとあるが「ジェットコースター楽しかったなぁ」程度のものでミッキーがどうこうとかはあまり覚えていない。実は高校生のときにクラスメイトと行こうと計画を立てて旅行代理店にお金も払ってあとは行くだけというタイミングのときに東日本大地震が起こり、そのツアーごと全部なくなってしまうという出来事があったのでそれからなんとなくではあるが「もう私の人生においてディズニーランドに行くことはないのだろう」と思っていたのである。そのまま社会人になり何度となく関東へ行くことがあってもディズニーリゾートに行くことは決してなく、大人になるにつれて自意識を見事にこじらせることに成功した私は「ディズニーリゾートへ行く人達→リア充→仲良くなれない人達」と勝手に決めつけて時折フェイスブックツイッターで「ディズニーなう」という同級生たちの投稿を眺めているだけだった。 似たようなことを前にも書いた気がする。

それから何年か経って、大きく歪んでしまった自意識も許容したり笑い飛ばしたりして何とかコンプレックスを含めた自分を好きになってもいいんじゃないかなと思い始めた頃に新しく友人ができた。ツイッターを通じてできた友人で共通の趣味のある女の子。そして偶然にも同年代であることや彼女の友人もまた私の共通の趣味を持っていることからいつの間にかその子を含めた3人でご飯を食べにいくようになった。今考えても不思議だなぁと思う。

仲良くなってしばらく経ったときに「いつか皆んなで遊園地とか遊びにいけたらいいねぇ」という会話になった。

「ディズニー行きたい!」

ほぼ反射的に答えていた。答えながら「あ、私ほんとはディズニー行きたかったんだ」と妙に自分に対して納得した。行きたかった。けれど勝手に自分は行けない(自分はそういう人たちではない)から行かないと決めつけてただけだった。そんな私だったというのに「やったー!行こう行こう!」と計画を立てて実行してくれた彼女たちには感謝しかない。


個人的に1番お気に入りのアトラクション(フィルハーマジック)

結論から言う。ディズニーランド最高。ディズニーランドマジで最高。本当に本当にめちゃくちゃに楽しかった。最初から最後までずっとケラケラ笑っていた気がする。今考えれば当たり前のことかもしれないけれどディズニーランドは決してリア充向けのテーマパークではなくて老若男女関係なくディズニーを好きな人たちのためのもので360度どこを見てもディズニークオリティを維持しているそのプロフェッショナルたちの仕事ぶりに感動しきりだった。舞台でいうと演出、照明、音響、衣装、美術、構成、脚本などの要素が全部完璧にされている感じ。それに来場者達のニコニコと楽しそうな様子を見ているのも楽しかった。ディズニープリンセスのドレスを着た小さな女の子達が嬉しそうに歩いているのが超可愛い。


世界一のカップル(ミッキーとミニー)

パレードにさして興味がなかったけれど始まる前に偶然にもパレードが行われる道の近くを通り、友人に「せっかくだから見よっか」と誘われて見た。(ちなみに昼も夜も見た)

感動して泣いた

子供の頃からずっとずっと好きだったディズニーの各キャラクターたちが嬉しそうに「ハピネス イズ ヒアー(Happiness is here)」をテーマに歌ったり踊ったり手を振ったりしていたのを見て私は泣いた。紛れもなくその空間はまだ幼かった私がテレビや絵本で触れ、憧れてやまなかったディズニーの世界だった。そこに自分がいる。「美女と野獣」のベルがいる。アラジンとジャスミンがいる。ミッキーとミニーが自分のいる世界にいる。正直いうと14年前に行ったときはミッキーやミニーを見ても特に何を感じることもなく、むしろ被り物特有の表情のなさに気味が悪いと思っていたのだが、頻繁に舞台を観るようになったからか目の前にある作り物を作り物とわかっていながら現実と認識することができるようになっていたのかもしれない。 ここにいるミッキーは私の心の中に住んでいたミッキーそのものだと本気で思った。彼らが「幸せはここにあるよ」とストレートに伝えてくれる多幸感。プライスレス。



パレードではないけれどシンデレラ城を使ったプロジェクションマッピングショー(?)「ワンス・アポン・ア・タイム」は見てパレードの倍は泣いた。ボロボロに泣いてしまった。「Once upon a time…」から始まる数々の童話や伝説が親から子、子から孫へと語り伝えられていく愛情のバトンパス、ディズニーが描いてきた物語がいかに人々の心に夢と希望という種を蒔いて見守ってきたのか。夢を信じることを想像力と愛情という魔法を使って肯定し続けてくれる最高のエンターテイメント。ディズニーランドのシンデレラ城でチャーミング王子とシンデレラが音楽に合わせて踊っているのを実際に見れるなんて想像もしていなくてその美しさに胸が締めつけられて涙が止まらなかった。そんな私を見て友人たちが「そんな風に反応してもらえて私も嬉しい」と言ってくれて「私はそう言ってくれる貴方たちに出会えてよかったです」と遺言みたいなことを泣きながら口走りそうになったけれどなんとかこらえた。

14年ぶりのディズニーランドはキラキラした選ばれた人のものでは全くなくて「If you can dream it, you can do it.(願い続けていれば夢は叶う)」というウォルト・ディズニーの言葉と精神を愛し続けてきた人々の温もりを感じるテーマパークだった。エルマーの冒険の翻訳者である渡辺茂男さんの講演の言葉で「実在しない生き物が、子供の心に椅子を作り、それらが去った後に実在する大切な人を座らせることができる。」という話が私はとても好きなのだがまさにそれに近いものをディズニーランドへ感じていて、子供時代に夢見た物語は心のピースとなって共に大人になっていくこと、これは子供時代を含めた今の私の肯定ではないか。


いつ でも幸せに暮らしましたとさと物語を信じることをたちも信じている よ」と何から何まで本気でストレートに伝えてくれることはなんて強くて優しくて、覚悟と誇りがあって愛情深いんだろう。

ディズニーリゾートにハマる人の気持ちがわかってしまったので実に危ない。友人たちと今度は夏にディズニーシーに行く予定を立てたのでそれまでまた頑張って働きます。楽しみ楽しみ。