NTlive「エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく」感想 〜 未来が翼を広げてやってくる 〜

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神様、助けて。僕には無理だ。」

 

公式サイト

 https://www.ntlive.jp

 

 作:トニー・クシュナー
演出:マリアン・エリオット
出演:アンドリュー・ガーフィールド

ネイサン・レイン

デニース・ゴフ

スーザン・ブラウン

 

あらすじ

エイズクライシス真っ只中の1980年代ニューヨーク。ゲイカップルのルイスとプライアー、弁護士であることに固執するロイ・コーン、セックスレスの夫婦であるジョーとハーパー。彼らを取り巻く人間関係や当時のアメリカの社会背景、失望、葛藤、偏見を描く。

 

感想

 正直なところ、この戯曲の中で描かれているものある程度理解できたかと聞かれてもおそらく半分もできていないだろう。扱われているモチーフの解説がほしい。ミュージカルや芝居を観るようになってある程度アメリカ合衆国について勉強したつもりだけれどそれでもやっぱりわからない。この戯曲が私にはさっぱりわからない。

 でも面白かった。とてもよかった。妄想と空想がひしめく世界で人間の感情が共鳴して交錯するのが個人的に好きだった。

 

彼らにとっての未来は希望や夢の満ち溢れた輝かしいものではなく容赦なく迫り来るタイムリミットのようなものでそれはすなわちいつか来る死であろう。「何故あなたが?」という悲痛な言葉が胸に刺さる。

 

己にとってより良くあろうと生きてきたはずの人達がまるで球体のパズルを完成させるピースのように思える。そしてその最後の一欠片が埋まらないまま手の中で消えていってしまう病魔の無情さ。自由の国アメリカ社会の個人主義アイデンティティと己の葛藤、セックス、妄想。信仰によって人は救済されるのか。彼らにとっての「未来」で生きる我々は何かに救われているのだろうか。天使は神からどんな指示を受けて目の前に君臨したのか。

 

二部も楽しみです。3月まで待てない…