私のキツネは開拓者

年末のとっても楽しい連載バトンリレー企画「 #ぽっぽアドベント2023 」に今年も参加できて嬉しい!主催のはとさん id:ibara810 にありったけの感謝とラブを!

 

 

今年のテーマは「NEW WORLD」です。

目まぐるしく変わっていく世界と自分に振り回されながらも、私が感じた「NEW WORLD」について書かかせていただく。

 

K-POPいいよね

BTSの登場から、いや、もっと前からK-POPの勢には目を見張るものがあった。凄まじいまでに鍛えられた彼らのパフォーマンスはいつも最高クオリティにまで高められているし、TWICEやIVEは紅白歌合戦に出場しているほど日本での知名度を誇っている。私の友人にもK-POPにハマっている人は何人もいるのだ。私だってTWICEのモモさんやジヒョさんに憧れを抱いて毎日のようにMVを見ていたときもある。ただ、今ひとつ、その世界に飛び込む勇気がなかった。言葉の壁だ。ほぼ毎日のように更新されるコンテンツは当たり前だが、基本的に全て韓国語。たまに有志が字幕をつけて動画を投稿していたり、日本のファンが多いグループには日本語字幕がついている公式動画もあるが、なんとなく気後れしてしまって楽しもうとしてもあまり気分が乗らなかったり。結局、K-POPの世界の入り口で右往左往しているだけで数年潰した。そんな中で、K-POPの歌番組の豊富さやイケイケドンドンの景気の良さばかり眺めては「いいなぁ。」と思っていた。いいなぁ。楽しそう。

 

兎にも角にも語学の壁

実を言えば、大学生のときに教養として韓国語を履修していたのだ。が、結論から言えば思いっきり挫折した。ハングルが覚えられず、そして単語も覚えられず、小テストでは常に冷や汗をかいていた。単位がかかったテストではあまりにも心配のため、担当教員に「私は単位を落としたのでしょうか…。」とスーパーネガティブな連絡をしたりしていたほどだ。その科目は前期と後期に履修するものだったのだが、みっともない自分が嫌すぎて前期のみ履修して、後期は取らなかった。恥ずかしかった。

そんな記憶があるものだから、私の中の韓国語コンプレックスときたらなかなかに根深いものがある。だが、目の前には楽しそうなK-POPの世界が見える。そして語学の壁が過去のトラウマと共に立ちはだかっている。どうしたものか。まぁ無理だろう。そう判断して前述の通り、好きなグループの有名な曲だけを楽しむ数年を過ごした。これはこれで楽しいしいいや。他に趣味もあるし。そんな気持ちだった。

 

(G)I-DLEがカッコいいと気になり始める


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さて、最近、K-POP界の話題を掻っ攫ったガールズグループをご存知だろうか。「Queencard」や「Nxde」のグループといえば分かる人も多いかもしれない。「Nxde」はマリリン・モンローを解釈し直して再構築した楽曲でミュージックビデオは実に華やかでゴージャスだ。そしてメンバー全員が金髪なのも特徴だろう。ちなみに、私は最初に見た時、マジで全員同じに見えた。歌詞は「人間は生まれてきた時は美しい裸なのに、それをいやらしいものだと捉えるのってアンタが変態だからでしょ」といったもので、この曲が爆発的にヒットしたため、韓国では「女の子の裸」を検索にかけても彼女たちのミュージック・ビデオの画像が表示されるようになったという実話さえある(それが間接的に性的消費される女性を守っている)。私の中で「アイドル」といえば「かわいい私をどうか好きになって愛してください」と常に笑顔をふんだんに振りまき、時には特に意味もなく水着を着て踊ることさえもするイメージがあるが(これはこれでプロフェッショナル意識を感じるが、これらはどうしても男性から女性への性的消費目線を意識かつ、女性への負担を強制している戦略だと思うので、私は全く好きではない)、「私は美しい。私は私だ。」というメッセージを掲げ、他者からの性的消費と価値判断に対して断固として拒否しているガールズアイドルグループなんて初めて知った。ほうほう、興味深いとアレコレ自分なりに調べていたら、どうやらこのグループはエンディング妖精(曲の最後にクローズアップされるメンバーのこと)で「何見てんだよコラ」と言いたげな表情でカメラを睨みつけたり、カメラをぶん殴ったりする演出をするらしい。面白すぎる。強い女しかおらん。

 

私は鏡アレルギー

日本でもドーム公演を行ったBLACKPINKなど、カリスマ性のあるガールズグループも数多く存在する。(G)I-DLEもその一つだろうくらいに捉えていたが、リリース曲を片っ端から聴いたり、ミュージックビデオを見ていたりすると、とある曲に釘付けになってしまった。


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その曲は「Allergy」という曲で、自分に自信がない女の子が「どうして私は私なの。どうして私は可愛くないの。どうして彼女になれないの。クソみたいな私の名前。私は鏡アレルギー」と自分のコンプレックスに対して嘆く。ミュージックビデオに出てくるキャラクターは、自分に自信のない冴えない女の子や、フォロワー数が多い人気インフルエンサー、下着店で働くオシャレでかわいい仲良し2人組、人気フィットネス講師など様々である。この曲の面白いところは、冴えない女の子だけが「どうして私は彼女になれないの。」と嘆いているのではなく、人気インフルエンサーは彼氏を略奪されたり、唯一無二の親友で仲良しだと思っていた相手が実は他の相手と仲良くしていたり、恋人ができて嬉しいはずなのに孤独を抱えているなど、「誰もが羨むような立場の人間でさえも、誰しもが苦しい悩みを抱えている」ことを描いている。しかも、この曲、メンバーが作詞作曲、プロデュースをしているらしい。めちゃくちゃ面白いと思った。

 

私はQueencard


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サビのメロディがキャッチーな「Queencard」は6ヶ月でミュージックビデオが2.7億回再生という驚異的な数字を叩き出したが、同じシリーズである「Allergy」の続き物であることは、あまり知られていないのではないだろうか。このシリーズ「I feel」は映画「I feel pretty」のオマージュであり、「Queencard」で華々しくクラブで自信満々に踊っていたのは、「Allergy」で自信がなくて冴えない女の子(彼女が整形手術を受けようとして麻酔を吸って見た夢が、実は夢ではなかった)だったという種明かしがある。「貴方は貴方のままでいい」というメッセージ。そして最後に「I feel (貴方の気持ち、わかるよ)というテーマを掲げてこのミュージックビデオシリーズは終わる。さ、最高じゃ〜〜ん!!!!!

 

語学の壁とか言ってらんねぇ

こうなったら最後である。メンバーのプロフィールを覚え、まだ「ハマっていない」と言いながらコンテンツを漁り、各SNSをせっせとフォローし、「公式動画に日本語字幕がないなら私が学ぶしかねぇ。」と韓国語のオンラインレッスンに申し込み、参考書を買い、同じ県内に韓国食材店があるなら車を飛ばして買いに行き、我が家の食卓にはキムチや参鶏湯が並び、食べたことがないので正解が分からないヤンニョムチキンを作り、外食の機会があればサムギョプサルを食べに行こうとしている始末である。あとファンクラブも入った。

 

私のキツネ

韓国語のオンラインレッスンを受け始めてようやくハングルを修了しつつある。

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これはキツネという単語が出てきた時にノートに描いた落書きである。オンラインレッスンでは添削もしてくれるのだが、先生からは「可愛いですね」とコメントをいただいた。ならばと毎回キツネを描くことにした。私はキツネの生徒だと覚えてもらうためである。キツネはレッスンごとに成長する。帽子を被り、服を着る。最近ではキツネに母親が登場した。話す単語も徐々に増えているようだ。これは私が成長した証でもあり、新しい世界を少しずつ開拓している証でもある。

私と、私のキツネはこれからどんな世界を知るのだろうか。

 

そんな私の「NEW WORLD」は好きなK-POPアイドルが出来たことと、韓国語の勉強を始めたことでした。明日は真魚さんの「ドスオタが韓国のイワン・カラマーゾフに会いに行く話」です。韓国繋がりだ!やったー!

 

感想などはSNSで「 #ぽっぽアドベント2023 」とつけていただけると嬉しいです。

 

余談

最近、東京でMAMA2023という音楽大賞の授賞式があったんだけど、そのときの(G)I-DLEがとてもカッコいいので是非見てね。最初の煽りも最高。


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