空と海と夫との沖縄旅行記

夫と沖縄でパラセーリングをした。パラシュートにロープが固定されており、それを小型ボートで引っ張るという所謂「人間凧揚げ」なのだが、私が参加したパラセーリングはロープが200mもあるもので、ざっくり見積もっても100m以上の高さまで飛ばされるものだった。よく日に焼けて(真っ黒という言葉さえ甘く感じるほどよく焼けていた)ワハハとよく笑っていたスタッフによると、この日は程よい風が吹いており良い状態らしい。少しだけ緊張しながらライフジャケットを身につけ、パラシュートにベルトで固定され、さぁ空の旅。

グッと身体が後ろに引き寄せられたと思ったらあれよあれよと上に上がっていた。高度が上がっていくにつれてボートがどんどん小さくなっていく。時々手を振ってみると同乗していた他の参加者やスタッフも大きく手を振りかえしてくれるのが面白く、嬉しかった。あっという間にボートが小指の爪ほどの大きさに見えるくらい小さくなってしまった。下をチラリと見るとロープが少し弛んでいるのが見える。ということは、今が最も高いのだろう。高さ100mは最低でもある。もしかしたら150mくらいかもしれない。上には空、下には海が悠々と広がっており、前には沖縄本島の景色がある。ほんのりと頬に感じる潮風も心地よく、テンションが上がっている私はあちこち指さしては夫に「あれはどこ?何があるの?」と質問していた。かつて沖縄に住んでいた夫は「あそこにアメリカン・ビレッジがあるよ」など私の質問に丁寧に答えていたが、正直なところ、私はそんなことはどうでもよく、今この瞬間を夫と楽しんでいることが嬉しかった。

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そして、私は心の底からパラセーリングを楽しみつつも、どこか冷静にもなっており、脳内では何故かネット上で見かけたボロボロのぬいぐるみの写真を思い出していた。

「Too much love(多すぎる愛)」とタイトルのつけられたそれは2枚の画像から成り立っており、1枚目は新品の状態の羊のぬいぐるみ、2枚目はボロボロになって色も形も変わった羊のぬいぐるみである。きっと持ち主に何度も何百回も撫でられ、抱きしめられ、遊んでもらったぬいぐるみなのだろう。その画像に対してコメントがついており、それが一時期話題になっていたのだが、それがこうだ。

「to be loved is to be changed(愛されるということは、変えられるということ)」

 

夫と沖縄旅行に行くことになり、日焼け対策グッズやら水着やらをキャリーケースに詰め込んで空港へ向かうために家を出たは朝の5時だった。滋賀県から関西国際空港はなかなかに遠い。那覇空港までの旅路は待ち時間を含めるとトータルで6時間くらいかかった。機内も暇だったので本を読んだり、ブログを書いてたりして時間を潰す。さぁ沖縄だと飛行機内から外に出た瞬間に熱気が大歓迎してくれて「暑い!!!!!」と叫んだ。亜熱帯気候よこんにちは。

そんなこんなで1日目は沖縄そばを食べたり、

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ビーチを散歩したり、

 

地元のスーパーに行ってギョサン(沖縄県民のマストアイテムであるサンダルのことである。ホームセンターにこれでもかというほど並んで売られている。丈夫で滑らない。そして安い)を買い求めたり、

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ハンバーガーを食べたりして胃袋を沖縄グルメでパンパンにしつつ、夜にはアメリカン・ビレッジに向かい、タコライスを食べたり、

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花火を見たり(たまたま過ごした時期とイベントが重なっており、運良く見れた)して沖縄を満喫していた。とても楽しい。ホテルに戻ったのは23時過ぎで急いでシャワーを浴びて就寝。なにしろ明日は早朝からスキューバダイビングとパラセーリングが待っている!

 

2日目。何故か目覚ましより前に起床。身支度を済ませ、夫からスキューバダイビングのレクチャーを簡単に受けつつコンビニへ向かい、ドリンクと軽めの朝ご飯を購入。何故軽めなのかというと、お腹いっぱいの状態でダイビングをすると胃の中のものが浮力で浮いてきて気持ち悪くなるからだそうな。へぇ。ダイビングショップに向かう。夫の先輩かつ友人のインストラクターに久しぶりに会い、再度レクチャーを受ける。こっちですよと案内されつつボートに乗り込み、水中での簡単なサインを教えてもらいつつ、ダイビングスポットへ移動。それにしても、ダイビングのインストラクターの人たちは全員よく日焼けしていて筋肉も鍛えられており、身体中にタトゥーが入っていたり髪の毛にメッシュが入っていたりして実に華やかである。というか、見た目がヤンキーである。私がずっと一緒に潜ってくれた人は夫の先輩かつ友人で、私も食事をしたことがある人で、実に人柄は丁寧で素朴、真面目なのだが、彼の耳のピアスは数え切れないほどであった。絶対観光客の人怖がるのでは…?と思いながらぼーっとしていると、違うグループのレクチャーをしていた別のインストラクターから「そろそろスーツ着ましょうか!」と声をかけられたのでいそいそとチャックをあげる。ダイビングスポットはすぐそこだ。呼吸の練習をして、いざ海へ。

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生まれて初めてのスキューバダイビング。本当に本当に楽しかった。ダイビング好きな人がみんな口を揃えて「一生に一回は潜っておいた方がいいよ!」と言う理由が身に染みて理解できる。手に触れることができるほどの距離にある珊瑚礁の美しさ、360度の視界を動き回る熱帯魚の美しさときたら異世界体験というしかない。シュコーという音のみが聞こえる世界はとても静かだ。あと呼吸がボンベで出来るのも面白いんだなこれが。慣れてきたらどんどん深いところまで連れていってもらえるのもワクワクした。上を見ると水面は遥か遠くに感じるほどだ。すごい!私!今潜っている!実際は40分ほど潜っていたらしいが、15分くらいにしか感じないほど集中して楽しんでいた。欲を言えばもっともっと潜っていたかった。今度は違うところで潜りたい!と大満足の体験だったことをここに記しておく。ダイビングはいいぞ。

補足で書いておくが、丁寧にレクチャーしてくれるのと、ほとんど泳がなくてもインストラクターが手を引っ張って泳いでくれるので経験ゼロの初心者でもまったくもって大丈夫だった。

そして最初に書いたパラセーリングを満喫した我々は、さて次はと古宇利島に向かったのである。

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恩納村にある「おんなの駅 なかゆくい市場」でお昼ご飯を買い込み、北へと向かう。このマンゴージュースがたまらなく美味しかった。ゴロゴロの生マンゴー果肉が美味しい。マンゴージュースも、下にあるヨーグルトジュースも美味しい。中の氷が溶けきったあともちゃんと美味しいジュースで素晴らしかった。


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おにぎりやチキン、チヂミも買った。チキンの衣がザックザクで香ばしくて美味しかった。おにぎりの中は肉脂味噌てこれまたジャンキーな美味しさだった。チヂミの中にはもずくが入っていて食感も楽しい。

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古宇利島に到着。海が綺麗。と一言で書くにはもったいないほど透明で美しい海だった。私は島育ちで、ある程度綺麗な海には慣れ親しんで育ってきたつもりだが、それでも感動するほど古宇利島の海は圧倒的なまでに美しかった。沖縄の言葉で「美ら海(美しい海)」という言葉があるが、昔からずっとこの海を眺めていた人さえも「美ら海」という言葉を生むほど、この海は美しいのだ。そういえば、ここでも夫の友人に会った。顔が広い。

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夫にハートロックに案内してもらう。観光客が皆んな左から写真を撮っていたので、私も習ってそちらに行こうとすると、夫から「違うよ。こっちだよ。」と反対側に連れて行かれた。どういうことかと思えば、岩がハートではなく、岩と岩の間がハートに見えるからこっちで撮る方が良いよとのこと。確かにめちゃくちゃハートに見える。

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暑すぎるので念願のブルーシールアイスを購入。塩ちんすこう味。中にちんすこうが入っていて美味しかった。にしても暑い。アイスが爆速で溶けていく。私も背中から汗がダラダラと、いや、ダバダバと、「背中に蛇口でもついてるのか?」と思うほど汗をかき、なんとなく背中を触ってみると手がビチャビチャになった。うへぇ。マジか。替えのTシャツを持ってくればよかった。


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夜は居酒屋に誘ってもらい、地元料理を楽しんだ。マグロの脳天の刺身が美味しかったな…。

3日目。

飛行機の時間があるので早めにホテルをチェックアウトした。

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朝ご飯を買いに行こうぜと美味しいことで有名なパン屋さんに向かう。ここのパンが美味しくて移住した人もいるらしい。どれも美味しそうで悩みつつも甘いものとしょっぱいものを半分ずつセレクトして買った。

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途中で出会った可愛い猫。沖縄は猫が多い。

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那覇空港で買ったポーたま。ゴーヤの天ぷらが入ったやつが好みだった…!食べればわかる。これはゴーヤチャンプルーだと。味の組み合わせが満点だった。あ、めちゃくちゃ並んだので、アプリを活用して予約購入するのをオススメする。マジで。

荷物の重量で慌てて手荷物にお土産を詰め込んだりしたが無事に飛行機に乗り込み、沖縄を後にした。

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沖縄旅行。楽しかったな。滋賀に戻って2週間経ったがまだ心はどこか浮ついたままだ。実は沖縄には中学の頃、修学旅行で訪れており、全てどんよりとした曇りか雨の日程でそれほど楽しいイメージがなかったのだが、今回は大変楽しめた。ひとえに何から何まで手配してくれた夫のおかげである。というか、そもそも夫と結婚していなければ、夫と出会っていなければ沖縄に旅行することも、ダイビングをすることもなかったのだろうと強く思う。家にいたい。アウトドアよりはインドア。アクティビティ?結構です。な人生を歩んできた私が、夫によって影響され、変化したのかもしれない。持ち主によって愛され、形を変えてしまったぬいぐるみのように。

 

パラセーリングの話に戻る。夫は実は高所がやや苦手らしく、パラセーリングも楽しめるか不安だったらしいのだが、パラセーリング真っ最中の空中でこんな会話があった。

「なんとなく怖いかなと思ってたんだけど。○○(私の名前)が隣にいたらアレだね。上も下もないね。いつも通りって感じ。」

「日常ってこと?」

「そう。日常。」

どうやら夫も変化していたらしい。私によって。